健保からのお知らせ

2018/12/3

(健康づくりWEBかわら版2018年12月号) 正しく知って、対策をしよう!~ノロウイルス~

(転載)日本予防医学協会
    健康づくりWEBかわら版 2018年12月号より
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正しく知って、対策をしよう!~ノロウイルス~
         
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毎年、冬になると流行しやすいのがノロウイルスによる胃腸炎や
食中毒です。年間を通してみられますが、例年12月はノロウイル
スの感染者がピークになる時期のため、特に注意が必要です。
そこで今回は『ノロウイルス』に関するお話です。

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★ ノロウイルスとは ★
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ノロウイルスは、嘔気・嘔吐と下痢を主症状とする急性胃腸炎の
原因ウイルスのひとつです。手指や食品などを介して、経口で感
染し、ヒトの腸管で増殖し、嘔吐、下痢、腹痛などを起こします。
健康な方は軽症で回復しますが、体力の低下した方や小児におい
ては重症化しやすいので注意が必要になります。感染力は非常に
強く、老人ホームや保育所等での集団発生例をみることもありま
す。

平成29年の食中毒発生状況によると、ノロウイルスによる食中毒
は、事件数では、総事件数1,014件のうち214件(21.1%)、患者
数では総患者数16,464名のうち8,496名(51.6%)で、病因物質
別の患者数では第1位となっています。

【原因】
<ヒトからヒトへの感染>
 ・患者のノロウイルスが大量に含まれる糞便や吐物から人の手
  などを介して二次感染した場合
 ・家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いとこ
  ろでヒトからヒトへ飛沫感染等直接感染する場合

<食品からの感染>
 ・食品取扱者(食品の製造等に従事する者、飲食店における調
  理従事者、家庭で調理を行う者などを含む)が感染しており、
  その者を介して汚染した食品を食べた場合
 ・汚染されていた二枚貝(カキなど)を、生あるいは十分に加
  熱調理しないで食べた場合
 ・ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で
  摂取した場合

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★ 症状・検査・診断 ★
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【症状】
24~48時間の潜伏期間を経て、嘔吐、下痢、腹痛が出現し、多く
の健康な方は2日ほどで回復に向かいます。しかし、小児や高齢
者、基礎疾患のある方は、脱水症状が体力の低下につながり、直
接の原因にはならずとも致命的になることも考えられます。また、
吐物を誤嚥し窒息や肺炎の原因となることがあります。

【検査・診断】
通常の場合、臨床経過や身体診察、周囲の感染状況などから、ノ
ロウイルスを原因として推定され診療されることが多いです。
その他、医師の診断の補助として用いられる「ノロウイルス抗原
検査」(3歳未満・65歳以上は健康保険適用)や、食中毒や集団
感染の原因究明などの目的で行政機関・研究機関などが行うリア
ルタイムPCR法(ウイルス検出・定量検査)などがあります。

【治療】
効果のある抗ウイルス剤はないため、通常、対症療法が行われま
す。特に、体力の弱い乳幼児、高齢者は、脱水症状を起こしたり、
体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行い
ましょう。脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治
療が必要になります。

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★ 普段から「感染しない」対策を ★
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●「手洗い」の徹底
 手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法です。
 調理を行う前、食事の前、トイレに行った後、下痢等の患者の
 汚物処理やオムツ交換等を行った後には必ず行いましょう。

●食品の十分な加熱
 一般にウイルスは熱に弱く、加熱処理はウイルスの活性を失わ
 せる有効な手段です。二枚貝などを調理する際は、中心部が85
 ℃~90℃で90秒以上加熱しましょう。

●食品取扱者や調理器具などからの二次汚染の防止
 ノロウイルスはアルコール消毒では完全にウイルスの活性を失
 わせることができません。ノロウイルスに汚染された可能性の
 ある調理台や調理器具の消毒、殺菌には、
 次亜塩素酸ナトリウム:塩素濃度約0.02%(200ppm)を用いるか
 加熱による処理が有効です。
 ※消毒液は家庭用の塩素系漂白剤を薄めて代用することもできます。

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★ 感染してしまったら… ~二次感染の予防~ ★
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ノロウイルスに感染した場合、感染者は自身の回復を心がけると
共に、手洗いや消毒など「感染を拡大させない」意識が大切です。
また、周りで急性胃腸炎の症状が見られた場合は、ノロウイルス
感染拡大を防ぐことを念頭に置いた対策を取りましょう。また、
吐物や汚染物の処理には、次のように十分な配慮が必要です。

<吐物やふん便>
 紙タオルで静かに拭き取り、処理後その場所を次亜塩素酸ナト
 リウム消毒液:塩素濃度約0.02%(200ppm)で浸すように床を
 拭き取る。その後、水拭きをする。
<衣類>
 消毒液に浸けた後、単独で洗濯する。
<カーペット>
 洗濯用洗剤で拭き取り、水拭きした後、スチームアイロンにて
 約2分間加熱する。

※処理時は、手袋・マスク・エプロン(使い捨てできるもの)・
 足カバー(ポリ袋+ゴムでも可)等を装着し、室内は換気する。

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★ 最後に・・・ ★
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冬場は感染症全般への対策が必要です。常日頃からこまめな手洗
いを基本に、自分や周囲の方への感染を予防していきましょう。
                   
                   消化器科外科医 古賀

(参考)
厚生労働省ホームページ ノロウイルスに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
国立感染症研究所感染症疫学センター
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc.html
                          以 上