健保からのお知らせ

2017/8/3

(健康づくりWEBかわら版2017年8月号)新たな国民病『慢性腎臓病』とは?

(転載)日本予防医学協会
    健康づくりWEBかわら版 2017年8月号より
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新たな国民病『慢性腎臓病』とは?
         
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慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)をご存知ですか?
様々な要因で腎臓の障害が慢性的に続く状態を指します。日本で
は成人の約8人に1人が慢性腎臓病と推計されています。慢性腎臓
病はゆっくり進みますが、悪化すると機能の回復は困難で、腎不
全へと進行します。早期発見、早期治療が大切な病気です。
そこで今回は『慢性腎臓病』に関するお話です。

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★ 腎臓はどんな臓器なの? ★
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腎臓は腰の少し上の背骨を挟んで左右に1つずつ、計2つありま
す。1つの腎臓にはネフロンという血液のろ過装置が約100万個
あり、その1つ1つで尿が作られ、血液中の老廃物や不要物を余
分な水分とともに排出しています。
その他にも、
①尿を作る過程でイオンバランスを調整し体内環境を一定に保つ
②血圧を調整する酵素を分泌する
③赤血球をつくる造血因子を分泌する
④骨の維持に必要なビタミンDを活性化する
など重要な働きをしています。

腎臓のおかげで、多少の暴飲暴食をしても体重は一定に保たれ、
体は正常な状態に保たれていると言っても過言ではありません。

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★ 症状と診断は? ★
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初期には自覚症状はありません。病気が進行すると、夜間尿、貧
血(立ちくらみなど)、倦怠感(だるい、疲れやすい)、浮腫、
息切れなどの症状が現れます。これらが自覚されるときには、す
でに病状がかなり進行している場合が多いといわれています。
体調の変化だけでは早期発見は難しいのです。

早期発見のためには、定期的に健康診断などで、尿蛋白の有無や
血液検査で血清クレアチニン値(筋肉でつくられる老廃物の1つ
で、腎臓から排出されるため腎臓のろ過機能の指標)を調べるこ
とが重要です。

慢性腎臓病は、次の(1)、(2)のいずれか、または両方が3ヶ月
以上続いた場合に診断されます。

(1)尿検査、血液検査、画像診断などで腎障害が明らかであり、
 特に0.15g/gCr以上のタンパク尿(30mg/gCr以上のアルブミン
 尿)がある。
(2)糸球体濾過量(GFR)が60mL/分/1.73㎡未満である。

重症度はステージ1からステージ5の5段階に分けられています。
指標となるのが推算糸球体濾過量(eGFR)です。これは、腎臓の
「老廃物を尿へ排泄する能力」を示しており、血清クレアチニン
値と年齢と性別から計算されます。

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★ 主な原因は? ~生活習慣病に注意~ ★
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糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病や、
慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)があげられます。特に、過食と
運動不足によって内臓脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満に、高血糖、
高血圧および脂質異常の2つ以上を合併したメタボリック症候群
の方は、注意が必要です。
また、次にあてはまる方もリスクがあります。

①高齢者、家族に慢性腎臓病の患者がいる
②生まれつき腎臓の形態異常がある
③過去の健診で検尿異常や腎機能異常を指摘された
④急性腎不全の既往がある

腎臓に悪い影響を与える薬を常用したり、膠原(こうげん)病や
感染症などの全身疾患が原因となることもあります。

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★ 進行したらどうなるの? ★
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慢性腎臓病があると、脳卒中や心筋梗塞などの心血管病を発症し
やすくなると言われています。なぜなら、その危険因子である高
血圧症や糖尿病、脂質異常症などは、動脈硬化を促進し、心血管
病の原因と共通しているからです。
病気が進行して腎不全になると、体内から老廃物を除去できなく
なり(=尿毒症)、最終的には透析療法や腎臓移植などの腎代替
療法が必要になります。末期腎不全による透析患者数は2014年に
は32万人に達しており、高齢者が増加する今後は、ますます早期
発見、早期治療で腎不全を防ぐ必要があります。

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★ 治療と予防は? ★
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腎臓機能を悪化させないための総合的な治療が行われます。生活
習慣病など明らかな原因疾患がある場合は、その治療を行いなが
ら、重症度(ステージ)に応じて食事療法(エネルギー・塩分・
たんぱく質・カリウム制限)を行います。腎臓機能が低下し、貧
血が進行したり、体内のイオンバランスが乱れたり、ビタミンD
不足がみられたら、その機能を補う薬物治療を行います。

予防にはまず、発症のリスクとなる生活習慣の改善が大切です。
適切な食事量と運動で肥満を予防し、規則正しい生活を送りまし
ょう。
また、過度の飲酒を控え、禁煙に努め、鎮痛薬などの多用もやめ
ましょう。すでにリスクのある方は、定期的に健康診断等で、腎
臓機能の経過をみていきましょう。生活習慣病で通院中の方は、
主治医の指示に従い、必要時には腎臓内科で専門的な治療を受け
てくださいね。

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★ 最後に・・・ ★
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駆け足で慢性腎臓病についてお話しましたが、大切なことは生活
習慣病を予防すること、定期的に健康診断の尿検査や血液検査で
腎臓機能をチェックすることです。重要な臓器である腎臓を守っ
て、健康な生活を送りましょう!

                     腎臓内科医 黒田

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。
・日本腎臓学会診療ガイドライン
 『生活習慣病からの新規透析導入患者の減少に向けた提言』
  https://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php
・知ろう、防ごう慢性腎臓病
  http://www.kyowa-kirin.co.jp/ckd/index.html
                            以 上