健保からのお知らせ

2016/10/3

(健康づくりWEBかわら版2016年10月号) 『ネット依存症』

(転載)日本予防医学協会

    健康づくりWEBかわら版 2016年10月号より

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ネット依存症、あなたは大丈夫?

         

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近年、スマートフォンやタブレット端末等の普及に伴い、インタ

ーネットによって私達の暮らしは大きく変わりつつあります。必

要な情報をすぐに引き出せ、人と簡単につながることもできるな

ど、多くの利便性や楽しみがある一方で、依存性などの課題や生

活への影響も指摘されているのが現状です。

そこで今回は『ネット依存症』に関するお話です。

 

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★ ネット依存症とは? ★

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ネット依存症とは、ギャンブルや買い物依存症のように、自分で

コントロールできず、その依存対象から離れると、不安を感じた

り日常生活に支障をきたしてしまう症状のことです。

尚、ネット依存症は、ネットに繋がっていない状態を恐れ、基本

的には次の症状があります。

 

 ●インターネットを自分の意志でやめることができず、ネット

  に繋がっていない状態に不安を感じる。

 ●携帯のメールチェックを頻繁にしてしまう。

 ●ネット以外への興味が薄くなる。

 

これらは現代の方に多く見られる症状かもしれません。そして、

依存症が重篤な状態にまでなると、幻聴・幻覚に悩まされるなど、

日常生活に支障をきたすようになるといわれています。

日常生活が問題なく過ごせているなら特に深く考える必要もあり

ませんが、のめり込み過ぎる前に気をつけておくことが大切です。

 

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★ なぜ、ネットに依存してしまうのか ★

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ネットを通じたコミュニケーションは、現実の対人関係より希薄

で、自由に関係を築くことができます。つまり、自分の利益や好

みを優先でき、好む人とだけ自分のさじ加減でコミュニケーショ

ンを深めることができます。

逆に、嫌いな相手との会話も、ネット上ならツールを閉じること

で自由に終えることもできます。

伝えにくい気持ちも、メールなら伝えやすいといったこともあり

ますね。

 

しかし、このような利点は同時に表面的で希薄なものとなり、そ

こに危険性があることを頭に入れておく必要があります。

 

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★ ネットの危険性とは ★

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コミュニケーションは言葉だけでなく、身振り手振りなどの体の

動きや表情、雰囲気など様々なものを総合的に使って意志疎通を

図っています。

しかし、ネット上でのコミュニケーションでは言葉が主となるた

め、相手に意図が伝わりにくくなります。双方の送り合う情報が

少ないため、限られた情報のみで解釈し、自分の価値観で受け取

ることになり、その結果、言葉の真意が伝わらず誤解が生まれや

すくなるなどの危険性があります。

 

また、巨大掲示版などで不特定多数の集団が集まり、過激な考え

や思想を持たない人でも、それらの考えや思想に同意したり、自

分の意志であるかのように主張したりする現象が起こりやすくな

ります。その結果、特定の個人を攻撃したり、集団自殺などにつ

ながりやすいという側面が考えられています。

 

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★ 中高生のネット依存傾向 ★

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国内では、約52万人とも言われる中高生がネット依存で「病的使

用」に当たる深刻な状態にあることが、厚生労働省研究班の調査

で発表されています(※1)。

 

「ネットに夢中になっていると感じるか」「使用をやめようとし

た時、落ち込みやイライラを感じるか」など8項目を質問し、5

項目以上に該当した人を「病的な使用」として、ネット依存が強

く疑われる者と認定しています。この「病的な使用」とされた割

合を男女別で比較すると、男性6.4%、女性9.9%で女性が多

く、チャットやメールに没頭する人が多いことが分かりました。

 

さらに、「病的な使用」とされた中高生のうち、「睡眠時間が6

時間未満」と答えたのは43%、直近1ヶ月で使ったサービスでは

「情報やニュースなどの検索」が約69%で最も多く、「動画サイ

ト」(約64%)、「メール」(約63%)の順で多いことが報告さ

れています。

 

また、日本だけでなく韓国や中国では、長時間連続でのオンライ

ンゲームの利用で死亡する事故が起きるなど、世界的にも深刻な

問題が起きており、その治療法に注目が集まっています。

 

治療法として、韓国では10泊程度のキャンプを行い、ネットから

切り離された環境で過ごす試みや、IDがなければ午前0時から翌

朝6時まではネットにアクセスできない「シャットダウン制度」

も導入されています。

日本では、ネット依存の治療に取り組んでいる施設はまだ少ない

状況ですが、(独)国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県

横須賀市)では平成23年7月から「ネット依存治療研究部門」を

開設して治療を開始しており、ホームページにネット依存の自己

チェックができるテストも掲載しています(※2)。

 

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★ ネット依存傾向の国際比較 ★

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総務省が報告しているネット依存傾向の国際比較の結果(※3)

では、日本・米国・英国・仏国・韓国・シンガポールの6カ国共通で

10-20代のネット依存傾向が高い層が多くなり、さらにスマート

フォン保有者の方が依存傾向が高くなる結果となっています。

 

そして、「コミュニケーション」をネット利用目的として挙げて

いるユーザーが6カ国共通でネット依存傾向が高く、米国・英国・

韓国においては「オンラインゲーム」を好んで使用しているユー

ザーも依存傾向が高めになっています。

 

現実生活への影響では、「ネットのしすぎで運動不足になってい

る」、「仕事や勉強、趣味や運動の時間を削ってネットをしてい

ることがある」、「常に末端をそばにおいていないと不安に感じ

る」の順で回答率が高い結果と報告されています。

 

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★ 最後に・・・ ★

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国内ではコミュニケーションをネット利用目的としているスマー

トフォンユーザーでネットの依存が高くなりやすい傾向となり、

直接人と会うなどリアルな生活やコミュニケーションを広く行っ

ている人ほど依存傾向が低いことが、報告されています。

休日に外に出かけ、ネットだけに偏らない生活や、暇つぶしのツ

ールとするのみでなく目的を持ったネット利用を意識するなど、

ネットと上手く付き合っていくことが大切です。

また、ネット依存を防ぐためには、自分自身がネット依存になっ

ていないかを見極めることも大切です。気になる方はぜひセルフ

チェックをしてみてくださいね。

 

URL  http://www.kurihama-med.jp/tiar/tiar_07.html

  ●インターネット依存度テスト

  ●インターネット依存自己評価スケール(青少年用)

                            以 上

今回の記事は次の資料を参考・引用して作成。

※1 2013年8月1日 日本経済新聞

※2(独)国立病院機構久里浜医療センターHP

※3 総務省 H26年版 情報通信白書