健保からのお知らせ

2021/9/1

(健康づくりWEBかわら版2021年9月号) ~胃がんを知って、検診を受けよう!~

(転載)日本予防医学協会
    健康づくりWEBかわら版 2021年9月号より
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医師からのメッセージ ~胃がんを知って、検診を受けよう!~

         
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「国立がん研究センター がんの統計2021」の2020年推計値によ
ると、胃がんは、男女ともに罹患数・死亡数ともにトップ5に入
る疾患で、年間10万人以上の方が胃がんにかかっている計算に!!
  男性 罹患数:第2位 死亡数:第2位
  女性 罹患数:第4位 死亡数:第4位
また、胃がんは、「早い段階では自覚症状がほとんどなく、
かなり進行しても症状がない場合があります。」※1
そのため、早期に見つけて治療につなげていく必要があるのです。
そこで今月は『胃がん』に関するお話です。
 
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★ 『胃がん』の要因と予防 ★
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「胃がんは、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因で
癌細胞となり、無秩序に増えていくことにより発生します。」※1

【要因】ヘリコバクター・ピロリ菌の感染、喫煙、食塩や高塩分
    食品の摂取、多量の飲酒

【予防】禁煙、バランスの良い食事、減塩、身体活動、適正体型

喫煙×胃がん
 厚生労働省の喫煙の健康影響に関する検討会報告書によると、
 喫煙と胃がんとの関連性は、「科学的証拠は,因果関係を推定
 するのに十分である(レベル 1)」と判定されている。

飲酒×胃がん
 多量の飲酒が口腔、咽頭、食道といった上部消化管の癌がおこ
 しやすいことが言われてる。胃でも同様に、飲酒により胃の入
 り口の噴門(ふんもん)部の癌になりやすい傾向がある。

食生活×胃がん
 野菜や果物の摂取が胃がんの発生リスク低下につながる可能性
 が示されている。一方、塩分の過剰摂取が日本人の胃がんリス
 クを高くする原因の一つとされている。

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★ ピロリ菌と胃がんの関係 ★
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~ピロリ菌の歴史~
ヘリコバクター・ピロリ菌とは胃の酸性環境においても増殖可能
な胃粘膜に生息する菌です。ピロリ菌が発見されたのは割と最近
の話で、マーシャル博士とウォーレン博士が1979年に初めて報告
しました。
ピロリ菌は萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん等の疾患
において高い感染率を示します。マーシャルらは胃潰瘍、十二指
腸潰瘍等の患者からピロリ菌の培養に成功し、マーシャルがこの
ピロリ菌を飲んで、急性胃炎がおこることを自らの体を実験台に
して証明しました。
さらに除菌により十二指腸潰瘍の再発も防ぐことができたのです。

ヘリコバクター・ピロリ菌は地下水や井戸水から感染する可能性
があるとも考えられており、比較的衛生環境の整っていなかった
時代に生まれた世代に感染率が高い(60歳以上で80%が感染してい
る)と言われています。

~ピロリ菌の検査~
1.胃カメラを使用する検査
  内視鏡により胃粘膜を採取し、その検体を用いて迅速ウレア
  ーゼ試験、鏡検法、培養法といった方法で検査する。

2.胃カメラを使用しない検査
  尿素呼気試験:検査用の薬を服用する前と後に呼気を採取す
         る簡便かつ精度の高い検査
  抗体検査:血中や尿中のピロリ菌に対する抗体を調べる
  糞便抗原測定:糞便中のピロリ菌抗原の有無を調べる検査

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★  胃がんになったら?  ★
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症状がみられる場合、胃の不快感や胃痛、胸焼け、食欲不振、胃
での出血による血の混ざった黒い便(タール便)や貧血などがあ
ります。同様の症状は胃炎や胃潰瘍でも出現するため、胃がんが
見過ごされることも。
症状がある場合には、すでに進行している可能性もあるため、医
療機関を受診するようにしましょう。

胃がんの治療法には内視鏡治療、手術、薬物療法などがあり、が
んの進行の程度や患者さんの体の状態、年齢、希望なども含め主
治医と相談しながら決めていくことになります。

・早期に発見し転移等がなければ内視鏡にて切除などの治療が可
 能。胃内視鏡を使って胃の内側から癌を切除する。

・遠隔転移がない胃がんで内視鏡治療による切除が難しい場合に
 は手術による治療が推奨される。手術では癌と胃の一部または
 すべてを取り除き、同時に胃の周囲のリンパ節を取り除くリン
 パ節廓清や食物の通り道を作り直す再建手術も行う。

・遠隔転移や手術により癌を取りきることが難しい場合や癌が再
 発した場合には、身体状況に合わせて薬物療法などの選択も考
 える。

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★  検診で早期発見・早期治療へ!  ★
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検診で発見された癌のほうが、症状が出てから病院の外来で発見
された癌より、生存率が高いと言われています。検診により早期
の段階の癌を発見することが極めて重要です。

・胃X線検査
 造影剤のバリウムと胃を膨らませるための発泡剤を飲んで検査
 を行う。バリウムを付着させた胃粘膜の凹凸をレントゲンで撮
 影し異常を見つける検査。胃の粘膜を見やすくするためゲップ
 は我慢が必要。
 膨らんだ胃の粘膜にバリウムを付着させるために、体を仰向け
 やうつぶせ、左右に回転させながら撮影する。
 
・胃内視鏡検査
 口や鼻から小型カメラがついている細い管を挿入し、胃を直接
 観察し、病変や出血を確認する。鼻やのどに管を通すときに嘔
 吐反射が起きることがあるため、鎮静剤を利用することもある。

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★ 最後に・・・ ★
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数年前にがん検診をうけて問題なかったから大丈夫というわけで
は決してありません。癌がまだ小さなうち、つまり早期に発見で
きれば、治癒率はぐんと高くなります。
早期の癌であれば種類によりますが100%近く完治すると言われて
おり、完治のためには症状のないときにがん検診を受診して早期
の段階で発見することが重要です。
胃がん検診は最低でも2年に1回。

健康に不安がなく「自分だけは大丈夫」と思っていても誰でも癌
に罹るリスクは持っています。企業や健康保険組合からの補助金
で自己負担が少なくなる場合もあります。
がん検診、面倒がらずに受けましょう。

                    消化器外科医:天池

 

今回の記事は次の資料を引用・参考にして作成いたしました。

※1国立がん研究センターがん情報サービス 胃がん
 https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/index.html
 【2021年8月16日閲覧】

・国立がん研究センター がん情報サービス がんの統計2021
 https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/2021_jp.html
 【2021年8月16日閲覧】
・厚生労働省 喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書 概要
 https://www.mhlw.go.jp/content/0000172686.pdf【2021年8月20日閲覧】
・胃癌治療ガイドライン医師用 2018年1月改訂(第5版)
・日本成人病予防協会 https://www.japa.org/
・日本医師会 知っておきたいがん検診
 https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/【2021年8月20日閲覧】
                           以 上