健保からのお知らせ

2021/3/1

(健康づくりWEBかわら版2021年3月号) 『インペアード・パフォーマンス』について

(転載)日本予防医学協会
    健康づくりWEBかわら版 2021年3月号より
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  もしかして・・・インペアード・パフォーマンス?!

                                       
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 マスクの着用が否応なしに生活の一部となった2020年度を終え、
2021年度の春を迎えようとしています。
「春」といえば、花粉症の季節。
マスク着用で過ごす春とは言えども、この時期、アレルギーの薬
を服用される方も多いのではないでしょうか。

アレルギーの薬を服用すると眠くなりやすい・・・
このことは割とご存知の方も多いのですが、実は自覚しやすい眠
気以外にも、日常生活に影響を来してしまう可能性が考えられて
います。
そこで今回は『インペアード・パフォーマンス』に関するお話で
す。

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★ インペアード・パフォーマンスって? ★ 
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花粉症や皮膚のかゆみ等のアレルギーの治療に使われる代表的な
薬の1つに、「抗ヒスタミン薬」があります。
「抗ヒスタミン薬」は、名前の通り、ヒスタミンの作用をブロッ
クする働きを持つ薬です。

ヒスタミンとは、鼻や皮膚でアレルギー反応を起こす物質ですが、
実は脳内では覚醒状態を維持したり、学習能力を高めたり、運動
量を増加させるという働きをしています。

「抗ヒスタミン薬」を服用すると、アレルギー反応を抑えてくれ
る力がありますが、一方では、脳に移行すると、脳内でのヒスタ
ミンの働きを抑えてしまうのです。
それにより、気づかないうちに、
 ・集中力の低下
 ・判断力の低下
 ・作業効率の低下
などの『インペアード・パフォーマンス』を引き起こします。

インペアード(impaired)は、英語で「正常に機能しない」という
意味です。
『インペアード・パフォーマンス』は、「抗ヒスタミン薬」の影
響で、能力や行動・気づきなどのパフォーマンスが知らず知らず
のうちに低下していることをいいます。

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★ 医師・薬剤師にご相談を ★ 
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『インペアード・パフォーマンス』が気づかないうちに起こるこ
とで、運転中の事故や災害、仕事のミスなどにつながる可能性も
考えられます。集中力や判断力の低下は、ウイスキー3杯分に相
当するとの見解もあるようです。

近年、副作用や眠気の少ない第2世代抗ヒスタミン薬が出てきて
おり、脳に移行しにくいタイプの薬もありますが、眠気の感じ方
や『インペアード・パフォーマンス』は、個人差も大きく、服用
している薬の種類によっても変わります。

薬の効果だけではなく、日常的に運転をする、機械操作などの作
業を行うなど個々のライフスタイルに合わせた薬・治療につい
て、かかりつけ医やかかりつけ薬局によく相談することがとても
重要ですね。

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★ 健康よもやま話 ~プレゼンティーズム~ ★ 
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今回、アレルギーの薬によるインペアード・パフォーマンスにつ
いて触れましたが、薬服用の原因である、アレルギー性鼻炎や花
粉症自体もまた、パフォーマンスの低下を招きます。

「健康問題を抱えたまま勤務している状態」または、「健康問題
による出勤時の生産性の低下」を『プレゼンティーズム』と呼び、
アレルギー性鼻炎や花粉症をはじめ、腰痛や片頭痛などの様々な
健康問題を抱えながら働くという状態自体が、パフォーマンスの
低下をきたしやすく、ひいては、企業の生産性の低下にもつなが
るという考え方があります。

一方、健康問題による欠勤をアブセンティーズムと呼びます。
アブセンティーズムや疾患の予防へのアプローチだけではなく、
プレゼンティーズムを抑えていくためのアプローチも必要なのか
もしれませんね。

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★ 最後に・・・ ★   
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筆者は、自宅で過ごすことが増えたこの1年、家庭菜園が余暇の
1つとして加わりました。
密を避けるために、在宅ワークの運動不足解消になど、ソーシャ
ルディスタンスを保ちながら屋外で過ごすという方も多いのでは
ないでしょうか。
マスクやメガネの着用、手洗い・うがい、花粉情報や風の強さ・
黄砂・PM2.5等の天気情報の活用、花粉の付きにくい素材の上着を
選ぶなどなど、日常生活での一工夫も症状の軽減につながります。
また、ストレスをためない、睡眠の確保、適切な飲酒等で体調を
整えておくことも大切ですね。
花粉との接触を「ゼロ」にはできませんが、花粉とのディスタン
スを取る工夫、ぜひ生活に取り入れていきましょう。


こちらも参考に。
健康づくりかわら版 2018年3月 花粉症シーズン到来!
https://www.jpm1960.org/kawara/kawaraban/96.html


※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成いたしました。
・厚生労働省ホームページ 花粉症特集
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kafun/index.html
・「アレルギー性鼻炎治療におけるアドヒアランスを考慮した第二世代抗ヒスタミン薬の選択と指導」 
 木津 純子 日耳鼻 122:1405-1410,2019
・「抗ヒスタミン薬に求められるもの」久保 伸夫 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)125,279~284(2005)
・「プレゼンティーイズム―これまでの研究と今後の課題―」 武藤 孝司
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ohpfrev/33/1/33_25/_pdf
・経済産業省 健康経営オフィスレポート
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieioffice_report.pdf
                          以 上